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02 2月 2017 月☆流星忌~雪夏塚~セツゲツカ 二条院如月編 第1話その3アップ

短い「雪夏塚~セツゲツカ 二条院如月編」があと一回くらいで終わってしまいます。最後のアップは来月になりますが、最後まで読んでも、話はまだまだこれからだと思います。
なのに、何故、ここで途切れているのだろう。

今回は、二条院如月という女学生が屶瀬島の屶瀬神社に住んでいることが分かるところで終わります。

綾華と槙人も暮らす屶瀬島は話の中でとても不思議な描かれ方をしています。この島のことだけでもこれまでのセツゲツカのなかで多く描かれてきました。全体像が分かるように要約してみると次のような島です。

<位置>
屶瀬島という本土から八百メートル程離れた島にある。沿岸流によって砂州が延びて陸続きになった陸繋島だ。砂州の上には屶瀬大橋という橋があるので、島に行くのに特別な方法はいらない。ただ、八百メートルは長い。島は目の前に見えるのに歩いても歩いても向こうに着かない。

遠目に見る限り、島自体は何の変哲もないただの島だった。しかし、この屶瀬島は「ある事」で全国的に有名な島なのである。テレビにも取り上げられるくらいなので槙人も屶瀬島がどんな島であるかは知っていた。

<屶瀬神社>
屶瀬神社は、屶瀬島の中央にある大きな神社である。島の三分の一くらいの面積を有しているため、位置的にも島の中枢と言っていい。実際、島の自治は神社の人間がやっているのだ。

<神話>屶瀬島には山の神が住んでおり、周りの海には海の神が住んでいた。山の神は陸を、海の神は海を管理していた。しかし空だけは管理していなかったので、春と夏は海の神が、秋と冬は山の神が管理することにした。そのため、海の神は秋と冬には、海面に出られなくなってしまった。ある時海の神が冬にこっそり海の外に出て島を見ると、美しい娘が目に入った。一目でその娘に魅入られてしまった海の神は、自分の仕事を放り出して娘と会うようになった。
しかし、当然その事は山の神に知られてしまう。山の神は娘を殺した上、海の神を厳しく監視するようになった。
海の神は嘆き悲しみ、攻めて冬に降らせる雪を夏に降らせてほしいと山の神に頼んだ。無目は雪女で、娘と会う日はいつも雪が降っていたからだ。雪を見て娘のことを思っていたいと泣きながらに頼んだ。山の神は、海の神の誓いの固さを見て、それだけは了承することにした。

<夏雪など特異な気候>
「夏雪」。それがこの屶瀬島最大の特徴である。太平洋側に位置する屶瀬島は、黒潮の影響もあって、冬でも割と温暖なのだ。だというのに、この島では、一年のうちで最も暑いはずの五月から九月にかけて雪が降る。夏に降るこの雪は、故に夏雪と呼ばれている。
これは気候云々という以前に、地球上の自然現象としておかしかった。夏に雪が降るのは、極地でもあまりない。まして四十度にも満たない緯度にある屶瀬島の夏に雪が降る訳がないのだ。
だが、現にこうして雪は降り積もっている。気温も氷点下を下回る程に落ち込むのだ。ただ気温は雪が降らない日は他と変わらない。本格的に夏になると、雪の日には信じられないくらい下がったりするが、翌日晴れると何事もなかったかのように三十度を超える。日々の気温の上下が世界一激しい場所になるのだ。
奇妙なのは、そうした一連の現象が屶瀬島にしか起こらない事である。わずか八百メートル離れた本土にはひと欠片も雪は降らない。それどころか、天気も全く違う事が多い。雪を降らせる雲は、屶瀬島の上空だけに発生するのだ。
これまで何百人という学者がこの謎を解明しようとした。しかし、誰一人として解答できる者はいなかった。地理的にも海流にも、風も気圧も、その他色々な要素も何一つとして関係なかったのだ。ただ、正体不明の雲が突如現れ、雪を降らして消える。その理由は、誰も説明できなかった。
それでも、屶瀬島には、今なお静かに雪は降り続けている。

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